プリンの冒険 　　第4回 たったったった。 プリンは走っていました。 まるでスーパービュー踊り子のようです。 でもすぐに息が切れてきました。 「あー、疲れた。ふだん運動してないからなあ。」 そう言って道のまん中に座り込むと、ポケットからモグラまんじゅうを一つ 取り出しました。 ぱくり。 「うまーい。もう一個。」 モグラまんじゅうは何とも言えないおいしさでした。 これを横浜中華街で売ればもうかるな。 プリンはそんなことを考えながら一人ニヤニヤしました。 「あー、おなかいっぱい。」 まんじゅうを食べたとたん、プリンは急に眠くなりました。 そしてそのまま眠ってしまいました。 それからどれくらい経ったでしょうか。 プリンが目を覚ましたとき、辺りの様子が少し変わっていることに気が付き ました。 「ここはどこケロ。」 プリンは辺りをきょろきょろと見回しました。 周りにはガラクタのようなものや、本が転がっています。 「おや、目が覚めたかい？」 突然声がしました。 声のした方を見ると一人の男が立っていました。 「ずいぶん良く寝たねえ。プリン君。」 「え、なぜ僕のことを知っているのですか？」 プリンは驚いて頭からカラメルが落ちそうになりました。 「ふふ。ずいぶんばかげたことを聞くねえ。君をナタデココと間違えるやつが いるかい？」 そう言って男は笑いました。 「あなたは一体誰ですか？」 プリンは聞きました。 「僕はクック船長だよ。世界中の宝を探して旅をしているんだ。船長だからと いっていつも船に乗っているとは限らないよ。宝があると聞けばこんな洞窟に だってやって来るんだ。 君が洞窟の途中で寝ているのを見つけてここへ運んできた。 ここは僕の研究室さ。」 「へえ、そうなんですか。研究室って言うわりにはたいしたことないですね。 ところでこの日記はあなたが書いたんですか？」 プリンは途中で拾った青春の日記の1ページを見せました。 「おお、そうそう。これは僕が書いたものだ。鼻をかむときにティッシュペーパー 代わりに使ったんだよ。」 「げっ。」 プリンはすぐにその日記を捨てました。 「ところで君も一緒に宝探しを手伝う気はないかい？」 クック船長はそう言いました。 プリンは少し考えましたがやめとくことにしました。 「僕は宝探しよりもダンジョン攻略を目指します。」 「そうか、それなら仕方がないね。」 クック船長は少しさみしそうに言いました。 「じゃ。」 プリンはそう言い残すとまた洞窟探検へと旅立って行きました。 つづく

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