プリンの冒険 　　第7回 相変わらず洞窟の空気はひんやりとしていました。 しかしそれはプリンとムースにとっては好都合でした。 洋生菓子は暑さに弱いのです。 「ふぅ、この冷気がたまらないわね。」 ムースは言いました。 言われてみると確かに洞窟の奥の方から冷たい空気が流れ込んで来ているような 感じがします。 どこかにドライアイスでも置いてあるのかもしれません。 道はいつしか緩い下り坂へと変わり、地下深くへとどこまでも続いているように 見えました。 「このまま進んで大丈夫かなあ。」 プリンは少し不安になってきました。 「大丈夫。私がついてるから。今日の星占い、金銭運が星5つだったから。」 ムースが得意げに言うと、プリンは言いました。 「ぜんぜん関係ないし。」 「うるさいわね。鰯の頭も信心からって言うでしょ。黙ってついてきなさい。 おほほほ。」 多少強引なところがあるムースでしたが、それはそれで心強くもありました。 そんなたわいない会話を続けながら歩いていると、突然道が行き止まりになり ました。 プリンはうろたえました。 「どうしよう。吉川晃司に入り込んだよ。」 「それを言うなら袋小路よ。あなたってほんとに頭が悪いのね。小学校から やり直した方がいいと思う。」 「え、そうかなあ。これでもちゃんとメダカの学校を卒業したんだヨ。」 「そう。それで知能がメダカレベルなのね。」 「えへ、すごい？」 「すごくない。それよりここを通り抜ける方法を考えないと。」 そう言うとムースは辺りを調べ始めました。 「おかしいわね。ほんとに行き止まりなのかしら。」 5分ぐらい辺りを調べてからムースは言いました。 見たところ通り抜けられそうな感じがありません。 ここまで来て行き止まりというのはあまりにもショックです。 でもこの洞窟を作った人がここでやめにした可能性はありえます。 ムースはちょっと困ったような顔をして洞窟の壁を見つめています。 さすがのムースもあきらめかけようとしたときです。 プリンが壁を指さして言いました。 「あれ、あそこの丸い出っ張りはなんだ？」 指さす方向を見ると確かに小さく丸い出っ張りが洞窟の壁にできています。 なんだかボタンのようにも見えます。 「まさかね。」 ムースはそう言って、そのボタンのような出っ張りを指でぐいっと押して みました。 すると「ゴゴゴゴォーーーー」という音とともに目の前の壁が二つに割れ たのです！ 「うひゃー、驚いたぁ。まさかこんな仕掛けになってるなんて。」 プリンは言いました。 ムースはというと、やはり相当驚いたようで、目を丸くしています。 「と、とにかくよかったわ。これで先へ進める。」 こうしてプリンとムースは二つに割れた壁の奥へと進んでいきました。 つづく

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