プリンの冒険 　　第8回 仕掛け扉の先の洞窟内はこれまでと少し違っていました。 壁に奇妙な文字が刻まれているのです。 しかしそれが意味するものが何なのかはムースにもわかりませんでした。 ただ、おそらくこの洞窟を作った人が残した重要なメッセージであるだろうという ことは、なんとなくわかりました。 そして、しばらく歩いていくと丸い広間のような場所に出ました。 「どうやらここは何かの儀式に使われた場所のようね。ほら、ここに何かを奉って いたような形跡があるわ。」 ムースは広間の中央にある四角い台座のような部分を指さして言いました。 「ほんとだ。ペコちゃんとかが飾ってあったんだね、きっと。」 プリンがそう言うと、 「不二家かよ！」 と、すかさずムースが突っ込みました。 不二家と聞くとムースは昔のことを思い出しました。 この洞窟の調査に来る前、ムースは不二家のショーケースに並んでいたのです。 毎日、毎日、ショーケースに並んでいるのがいやになり、ある朝、店のおばさんと 喧嘩して、山へ逃げ込んだのでした。 初めて目にした山の景色はとっても眺めがいいもんでした。 そんな感傷に浸っていると、プリンが言いました。 「あそこに階段がある。」 どれどれ、とムースも言われた方向を見てみると、確かに上へと続く階段があり ました。 そして、階段の先から明かりが差し込んでいるのが見えました。 「ひょっとして出口かもしれないわ。」 ムースが言うと、 「ほんと？ここから出られるの？わーい！」 プリンは子供のように喜びました。 そして二人は階段を上へと上っていきました。 つづく

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